赤と黒 -4ページ目

『陰陽師 女蛇ノ巻』

 『陰陽師 女蛇ノ巻』(夢枕獏)

―あらすじ―
 シリーズ第16弾。平安の京に巣食う妖怪変化の類に、安倍晴明と源博雅が立ち向かう。

 


 今回、個人的に面白かったのは「相人」です。いつもとは違ったパターンの展開であり、新鮮に読むことが出来ました。

 

 

『ニコライ遭難』

 『ニコライ遭難』(吉村昭)

―あらすじ―
 明治24年5月、ロシアの皇太子・ニコライが日本を訪問した。九州から近畿へとやってきたニコライ一行だったが、大津にて警護の巡査が突然彼を襲う。ロシアとの外交関係、そして犯人に対する裁判の結果は。



 「大津事件」を扱った作品です。大津事件については名前くらいしか知らなかったのですが、本書にて事件の背景や影響を知ることが出来ました。事件自体よりも、事件による余波や、行政と司法の間での軋轢に重点が置かれており、当時の日本が予断を許さない状況であったことが伝わってきます。450ページ超の、やや長い作品ではありますが、サッと読めてしまった印象です。

『俺に関する噂』

 『俺に関する噂』(筒井康隆)

―あらすじ―
 平凡なサラリーマンの個人情報がマスコミに取り上げられてしまう「おれに関する噂」。畳と顔がくっついてしまう「怪奇たたみ男」など、11篇の短編を収録。



 実は去年から読んでいた本です。が、最初の方に収録されている作品はあまり面白いと思えず、放置しておりました。今年になり、一応最後まで読みましたが、やはりあまり面白いと思えず…面白いと思えたのは「通いの軍隊」くらいでしょうか。

『山が見ていた』

 『山が見ていた』(新田次郎)

―あらすじ―
 結婚してもなお、山に登ることを切望する男。彼を理解しようとしない妻と義母。彼を理解しようとする実母。彼は山に登ろうとするが…(「山靴」)全15篇からなる短編集。



 数多くの山岳小説を生み出している著者による、少し変わった短編集です。イヤミスのような、何とも言えない作品が多く収録されており、著者の作品は山岳小説しか読んでいない私としては、意外な一面を知った印象です。真梨幸子、麻耶雄嵩といった著者の作品が好きな方におすすめしたい短編集ですね。

『泥流地帯』、『続 泥流地帯』(再読)

 『泥流地帯』、『続 泥流地帯』(三浦綾子)

―あらすじ―
 十勝岳の噴火により全てを泥流に流されながらも懸命に生きる兄弟を通して、人生の試練とは何かを問う。



 2008年に読んで以来、約15年振りの再読となりました。しかしこの作品を読んだのが15年も昔だったとは…その素晴らしさは記憶にはっきりと残っていたため、まだ数年前に読んだばかりだと思っていました。

 『泥流地帯』では十勝岳が噴火するまでを、『続 泥流地帯』では噴火後の復興を描いています。いくら真面目に働いても報われない登場人物が多く、人生とは何のためにあるのかと、読みながら考えさせられました。それでもなお前向きに進んでいく主人公兄弟の力にはただ頭が下がる思いです。そしてラストシーンでは、はっきりとした描写ではないのですが、希望という未来を指し示してくれる終わり方でした。遠ざかる列車と、それらを見守る兄弟の情景がまぶたに浮かびます。

 『泥流地帯』だけでは理不尽な終わり方なので、2冊セットで読むことをお勧めします。著者の他の作品ほどキリスト教色が出ていないので、比較的読みやすい作品かと。

 しかしこうして再読することで、著者の作品の素晴らしさ、読書の面白さを再確認することが出来ました。昨年ほとんど本を読みませんでしたが、その情熱をもう一度取り戻したいと思わせてくれる作品でした。

 

『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』(再読)

 『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』(飲茶)

―あらすじ―
 釈迦や孔子など、東洋史における哲学者を紹介。



 西洋の哲学史を扱っていた『史上最強の哲学入門』と対をなす東洋編です。西洋と東洋における哲学の違いの方向性や、ゴールへのアプローチ方法など、本書も非常に面白く一気に読んでしまいました。「我」や「無」など、最初は難しくて取っ付きにくかったのも事実です。が、そこを乗り越えるとあとは知の大陸が広がっています。般若心経の解説のほか、ガンダムやピーナッツ、耳などが具体例に挙がり、東洋哲学の様々な用語が解説されていきます。

 前作と合わせて、素晴らしい作品に会ってしまった。

『史上最強の哲学入門』(再読)

 『史上最強の哲学入門』(飲茶)

―あらすじ―
 プラトンやデカルト、カントなど32人の哲学者を紹介。



 約2年振りの再読となりましたが、当時感じた通り面白さは変わらず、読みだすと手が止まりません。それぞれの哲学者のエピソードや考えを、筆者独自の視点から噛み砕いて読者に伝えてくれます。また、年代順に哲学者が登場するのではなく、それぞれの主張を「真理」、「国家」、「神」、「存在」とカテゴリー分けした上で説明されている部分も新鮮に感じました。個人的に興味のある「経済」と繋がっていることもあり、アダム・スミスの話などは特に興味深く読めました。

 

 

『ポーカー・フェース』(再読)

 『ポーカー・フェース』(沢木耕太郎)

―あらすじ―
 著者による、日常の何気ないひと時を描いたエッセイ集。『バーボン・ストリート』、『チェーン・スモーキング』に続く第3弾。

 


 この心地よさは何なのか。最初から最後まで、「ずっと読んでいたい」と感じさせてくれる不思議な面白さが全体を貫いています。言語化が難しいこの面白さを、もっともっと味わっていきたいと思います。

謹賀新年(2023年)

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。

2022年のまとめ

 2022年も非常に忙しい一年でした。12月からは特に忙しくなり、よく体がもったなと感じています。

 そしてblogを見返してみると、「2020年のまとめ」、「2021年のまとめ」を書いていないことに気付きました。我が事ながら、一昨年も去年も忙しかったことが伺えます。

 本をほとんど読まない一年でした。blogに書いていない本も数冊あるのですが、それでも10冊も読んでおりません。「7月から再開しよう」と思いつつ、9月、11月とずれ込んでしまい、読まないままになってしまいました。2年前までは毎年100冊以上をキープしていましたが、昨年は約50冊、そして今年は10冊未満…「今年の10冊」を選ぶことすら出来なくなりました。来年は頑張って読みます。まずは50冊を目標にしましょう。スマホゲームのやりすぎです。

 夏には長崎・大分と、名古屋・伊勢に旅行に行きました。どちらも良かった。やはり旅行はいいものです。長崎駅ではフードコートの中に立ち飲み屋があり、九州の酒文化の一端を感じることができました。あまりお酒のイメージが強くない長崎ですらこの状況ということは、熊本や鹿児島はどうなっているのか。いずれは足を延ばしてみましょう。来年は関東に行く予定ですが、広島・尾道への再訪も考えています。

 健康診断前に約一ヶ月の禁酒をしましたが、非常に素晴らしい効果が出ました。健康診断前だけでなく、恒常的に行う必要がありますが。