『ニコライ遭難』 | 赤と黒

『ニコライ遭難』

 『ニコライ遭難』(吉村昭)

―あらすじ―
 明治24年5月、ロシアの皇太子・ニコライが日本を訪問した。九州から近畿へとやってきたニコライ一行だったが、大津にて警護の巡査が突然彼を襲う。ロシアとの外交関係、そして犯人に対する裁判の結果は。



 「大津事件」を扱った作品です。大津事件については名前くらいしか知らなかったのですが、本書にて事件の背景や影響を知ることが出来ました。事件自体よりも、事件による余波や、行政と司法の間での軋轢に重点が置かれており、当時の日本が予断を許さない状況であったことが伝わってきます。450ページ超の、やや長い作品ではありますが、サッと読めてしまった印象です。