『泥流地帯』、『続 泥流地帯』(再読) | 赤と黒

『泥流地帯』、『続 泥流地帯』(再読)

 『泥流地帯』、『続 泥流地帯』(三浦綾子)

―あらすじ―
 十勝岳の噴火により全てを泥流に流されながらも懸命に生きる兄弟を通して、人生の試練とは何かを問う。



 2008年に読んで以来、約15年振りの再読となりました。しかしこの作品を読んだのが15年も昔だったとは…その素晴らしさは記憶にはっきりと残っていたため、まだ数年前に読んだばかりだと思っていました。

 『泥流地帯』では十勝岳が噴火するまでを、『続 泥流地帯』では噴火後の復興を描いています。いくら真面目に働いても報われない登場人物が多く、人生とは何のためにあるのかと、読みながら考えさせられました。それでもなお前向きに進んでいく主人公兄弟の力にはただ頭が下がる思いです。そしてラストシーンでは、はっきりとした描写ではないのですが、希望という未来を指し示してくれる終わり方でした。遠ざかる列車と、それらを見守る兄弟の情景がまぶたに浮かびます。

 『泥流地帯』だけでは理不尽な終わり方なので、2冊セットで読むことをお勧めします。著者の他の作品ほどキリスト教色が出ていないので、比較的読みやすい作品かと。

 しかしこうして再読することで、著者の作品の素晴らしさ、読書の面白さを再確認することが出来ました。昨年ほとんど本を読みませんでしたが、その情熱をもう一度取り戻したいと思わせてくれる作品でした。