赤と黒 -195ページ目

『吾輩は猫である』

 『吾輩は猫である』(夏目漱石)

―あらすじ―
 「吾輩は猫である。名前はまだ無い」――珍野苦沙弥先生の家に買われている1匹の猫。猫の視点から見た人間界の面白さとは。


 最初に読んだときは小学生でした。その時は古めかしい言い回しや行動があまり理解できませんでしたが、数年経って読み返してみると、実にユーモアに溢れた作品であることが分かりました。偏屈者の苦沙弥先生を始め、寒月くん、迷亭くんなど、どこか人間味に溢れた人物たちについて、真面目ゆえの滑稽さが笑いを誘います。

吾輩は猫である (新潮文庫)/新潮社

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『戦う司書と雷の愚者』

 『戦う司書と雷(いかずち)の愚者』(山形石雄)

―あらすじ―
 武装司書たちの本拠・バントーラ図書館が何者かの襲撃を受け、さらに先の戦闘で死んだルイモンの「本」が輸送中に盗まれた。「本」の奪還任務についた見習い武装司書・ノロティに、ハミュッツから別の極秘任務が与えられるが…『戦う司書と恋する爆弾』続編。


 前作に比べて文章のテンポが良くなったような、より読みやすくなったような気がします。よりライトノベルっぽくなったとでも言いますか。このシリーズはやや重たい話なのですが、今回は明るい性格の司書見習いを主役におくことで上手くバランスが取れた感じですね。終盤近くで展開がご都合主義だと思われる部分もありましたが、ラストもハッピーエンドで最後まで楽しく読めました。今後も続編が出るのであればチェックしておこうと思います。

戦う司書と雷の愚者 BOOK2 (集英社スーパーダッシュ文庫)/集英社

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『戦う司書と恋する爆弾』

 『戦う司書と恋する爆弾』(山形石雄)

―あらすじ―
 死者の記憶が「本」になり、図書館に収められる世界。本を管理し守るため、武装司書と呼ばれる人々がいた。中でも最強と名高いハミュッツ=メセタに対し、爆弾を抱えた少年が迫る。


 そのタイトルから、てっきり『R.O.D』のような感じの話かと思ってタイトル買いしたのですが、全然違いました(良い意味で)。「死者の記憶が本になる」、「本は鉱山で発掘する」などの設定を上手く独特の世界観に繋げられており、仮に闘いの要素をいれなくても、この本に関する世界観だけでも十分に面白い話が作れそうです。続編がつい先日出たらしいので、また本屋で見つけたらそちらも買っておこうと思います。

戦う司書と恋する爆弾 BOOK1(集英社スーパーダッシュ文庫)/集英社

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『神栖麗奈は此処に散る』

 『神栖麗奈は此処に散る』(御影瑛路)

―あらすじ―
 「神栖麗奈」が生まれた理由。元生徒会長にして、学園における「絶対」であり、完璧だった存在。それが神栖麗奈。


 先日読んだ『神栖麗奈は此処にいる』の続編にして前日譚に当たります。前作は「可もなく不可もなく」といった感じでしたが、今作は謎ときがメインになるせいか、前作よりも面白く読むことができました。また、言い回しや伏線の張り方、視点の切り替え、学園が舞台など、何となくブギーポップシリーズに似ている感じがしました。前作だけならオススメしにくい作品でしたが、2巻まとめてならオススメの作品だと思います。

神栖麗奈は此処に散る (電撃文庫)/メディアワークス

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『神栖麗奈は此処にいる』

 『神栖麗奈は此処にいる』(御影瑛路)

―あらすじ―
 神栖麗奈。その人物に影響され、次々と自殺者が増えていく。果たして神栖麗奈とは何者なのか。


 イラストのない電撃文庫ということで興味を持ち、読んでみました。ホラーとミステリーがほどよく混ざった感じで読みやすいということもありましたが、後半の謎解きが面白くてサッと読めてしまいました。しかし今ひとつよく分からない部分や、中途半端に感じるところがあり、評価としては「まあそれなり」といった感じです。謎は続刊で明かされるのかもしれませんが、本書だけでは可もなく不可もなく。

神栖麗奈は此処にいる (電撃文庫)/メディアワークス

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謹賀新年

 明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。

2005年のまとめ

 以下は今年のまとめ。

≪ブログ開設≫
 やはり大きいのはこのブログが始まったことです。せいぜい読書の感想くらいしか書いていませんが、人に何かを伝えるのは難しいなあと実感します。細々と続けていこうと思います。

≪疲労≫
 最近疲れることが増えたような気がします。心機一転、頑張らないといけませんね。

≪衝撃≫
 会田誠という現代美術家の作品には衝撃を受けました。


 来年はもっと良い年になりますように。

Best of TVgames 2005

1…『牧場物語 しあわせの詩』

 数ある『牧場物語』シリーズの中でも最高傑作と言える作品。グラフィックも可愛らしく、ちょこちょこ動くキャラクターを見ているだけでも楽しい。自由度の高さを残しつつも、「音色集め」によって自分なりの目的を考えられるという点も良い。惜しむらくはクリア不可能になるバグだが、そんなもの関係なしと言えるくらいの、最高の1作。


2…『真・三國無双4』

 前作があまりに面白かったために、『4』の開発を聞いたときには結構不安だったのだが、全くの杞憂だった。面白すぎる。特に、無双モードが武将1人1人になったため、より三国志に忠実な内容となった。キャラクターも48人と多く、長く遊べる。不満点はあまりないが、強いて挙げればキャラクター個別のステージをもっと増やしてほしかった。例えば「赤壁の戦い」にしても、諸葛亮なら風を起こすイベントをもっと深く作るとか、黄蓋なら火計を如何に成功させるかにスポットをあてるとか。


3…『バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海』

 ゲームショップで叩き売られていたので「売れてなさそうだから買うか」と思い買ってみたところ、予想外に無茶苦茶面白かった。特徴は、戦闘にカードデッキを使い、さらに時間の概念があるということ。そのため戦闘に絶えず緊張感が持て、RPGにありがちな「ザコ敵との戦闘=ただの消耗戦」が解消されている。また、時間が経つことでカードが全くの別物へと変化したり、カードの組み合わせによって新たなカードを作り出せるなどの仕掛けも面白い。綺麗過ぎる画面が逆に仇になる点や、カードの整理がしにくいなど作り込みの甘い部分も見られるが、良作と言うには十分。何故これが叩き売られるのかが謎。


 今年はこの3作品が突出して面白かったです。逆に言えば、これら以外の作品は今一つでした。

牧場物語 しあわせの詩/マーベラスインタラクティブ

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Best of books 2005

1…『塩狩峠』
2…『ダ・ヴィンチ・コード』
3…『さぶ』
4…『決定版!大人の酒・男の飲み方』
5…『項羽と劉邦』

 これら以外にも、『桜井政博のゲームについて思うこと』、『三国志英雄列伝』など、去年と比べると冊数が減ってしまいましたが、全体的に面白い本が揃ったように思えます。まあ去年は三国志に目覚めたため、三国志関連だけで40冊ほど買っていたので。ここ最近は新刊で面白そうな作品が見当たらないので、来年は『野菊の墓』や『蟹工船』といった、名作と呼ばれるあたりの本を読んでいこうかと思います。

塩狩峠 (新潮文庫)/新潮社

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『チャタレイ夫人の恋人』

 『チャタレイ夫人の恋人』(ロレンス/訳:伊藤整/補訳:伊藤礼)

―あらすじ―
 炭坑を所有する貴族クリフォード卿と結婚したコンスタンス。しかし夫は戦争で下半身不随となり、夫婦間の性の関係は絶望的となった。傷心のコンスタンスだったが、森番のメラーズと偶然に結ばれてしまう。


 550ページほどありますが、実は160ページあたりで読むのを止めていました。読み切ろうと一念発起した結果、200ページ過ぎくらいから話が本題に入り面白くなってきました。「チャタレイ事件」による裁判のイメージで卑猥な作品と思われがちです(私も当初はそう思っていました)が、改めて読んでみるといやらしさは全く感じられず、大人向けの恋愛小説といったところでしょうか。

チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)/新潮社

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