『破船』 | 赤と黒

『破船』

 『破船』(吉村昭)

―あらすじ―
 江戸時代のとある漁村。その村では、嵐の日に近くを通る船をわざと座礁させ、積荷を奪うという習慣があった。船が来れば村は潤うが、船が来ない年は赤貧にあえぐこととなる。大量の積荷を載せた船が座礁した翌年、またしても船がやって来た。2年連続での船の到来に村は歓喜するが…



 裏面のあらすじがネタバレ気味ではありますが、読んだときのおぞましさは言葉では表せないおぞましさです。因果応報ともとれる凄惨な結末。約250ページという短さに秘められた、この圧倒的な読後感。同著者の『羆嵐』、『高熱隧道』にも引けを取りません。