『続氷点』(再読) | 赤と黒

『続氷点』(再読)

 『続氷点』(三浦綾子)

―あらすじ―
 旭川市で医師として働く辻口。妻、息子、娘の4人家族として暮らす辻口だったが、ある日、妻の不注意から3歳の娘は佐石という男に殺されてしまう。妻の希望により女の子を養子として向かえた辻口だったが、その女の子は佐石の娘だった…



 『氷点』と同様に、2007年に読んで以来、約16年振りの再読となりました。

 「原罪とは何か」がテーマとなっていた『氷点』の続編であり、今作では「罪の許し」がテーマとなっています。しかし前作同様、このテーマを別としても、出生の秘密を巡るヒューマンドラマとしても読むことが出来る作品です。個人的には罪の許しという部分よりも、「一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものだ」、「生まれて来て悪かった人間なら、生まれて来てよかったとみんなに言われる人間になりたい」などといった言葉が心に残りました。やや偶然が過ぎるのが気になりましたが、多くの人に読んでいただきたい本です。